薬膳コース
健康は、よい食事に支えられています。
中国では昔から食物について研究が重ねられ、 どんなよい薬も食事にはおよばないとして、病気を治すことより 病気の予防を重視してきました。 「医は食にあり」、「医食同源」といわれます。
薬膳料理を本格的に作るのは易しいことではありませんが、 毎日口にする食物について知っておくことは有益だと思います。
薬膳料理の基本は、病気になってから治療するのではなく、 毎日の食事に気を配り病気になりにくい体を作っていこうというものです。 薬膳の特徴は、古代より研究された本草学の知識と、
「陰陽・五行」という自然理論が背景にあることです。
現存する最古の食養生の本には、医師は病気の原因、病気の箇所をよく把握し、 それに応じて食物で治療するべきであり、それでも治らない場合のみ、 薬を使うように指示されています。
病院で検査を受けても、特に異常はないがなんとなくだるい、食欲がない、 体調がよくないということがあります。漢方では、このような状態を未病といいます。
漢方は、病気の症状が現れる前に治療してしまうことを目指し、 未病の原因を根治する工夫をこらしてきました。 また、漢方治療の特徴は患者ひとりひとりの体質を基本においていることです。
このような考え方から、薬膳料理が生み出されました。
薬膳は中国の食文化ですが、食物を薬と考え健康を保つために摂ろうとすることは、 中国に限っているわけではありません。 インド料理に使われる多くの香辛料、カルダモン、クローブ、ターメリック、スターアニスなどは、
もともと薬として珍重されたものです。
日本に伝えられた中国の古代食は、 日本人の嗜好と日本の風土の影響で形を変えてはきましたが、
その根底には薬膳の理論が色濃く残されています。 体の恒常性は、気、血、水の三要素によって保たれ、 このバランスが保たれることによって健康が維持されます。
『気』は生命エネルギーで、気の力が落ちると、疲れやすくなったり 風邪をひきやすくなったりします。
『血』は生体をささえているので、血の力が低下すると、顔色が悪くなり、貧血、 四肢のしびれ、めまい、頭痛、血の循環に障害や滞りがおこります。
『水』は体の中の生理的な体液すべてをいい、バランスがくずれると むくんだり痰が出たりします。
経路が全身に分布して気、血、水が運行する主要な通路となり、 体が円滑に働いていくものと考えます。